前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

【企業分析】gumi(3903)

1.はじめに

本日は6/11(金)に決算発表のあったgumiについて調べてみます。

2.事業概要

gumiはモバイルオンラインゲーム事業を展開しており、他社有力IPのゲームタイトルだけでなく、オリジナルのタイトルの開発・運用も行っています。また、国内でヒットしたタイトルのローカライズ業務も手がけています。

他に、新規事業としてXR事業(VR,AR,MR)として関連企業への投資や、ブロックチェーン事業として同技術の有力企業への投資を行っています。

3.業績分析

それでは本日の決算発表の結果を確認しましょう。今期の会社業績予想は開示されていないので、3年分の実績を確認します。

通期業績 2019年4月期 2020年4月期 2021年4月期
売上高 21,257 19,827 18,628
(前期比) -21.60% -6.70% -6.00%
営業利益 -1,430 2,225 1,514
(前期比) - - -32.00%
経常利益 -1,661 2,124 6,071
(前期比) - - 185.70%
当期純利益 -1,695 1,757 1,835
(前期比) - - 4.40%

銘柄ニュース*1は経常利益をタイトルに大々的に取り上げられていて、実際に大幅な増収になっていることが分かります。しかしながら、本業の儲けを表す営業利益は3割減となっており、経常利益の大幅増収のわりに当期純利益は4(%)増とかなり控えめです。これは何故でしょうか。損益計算書からその理由を探してみましょう。

  • 暗号資産評価益が11億円増加。(約2.1倍)
  • 暗号資産売却益が9億円増加。(新規)
  • 持分法による投資利益が23億円増加。(新規)
  • 減損損失が16億円増加。(新規)

簡単に結論を言うと「暗号資産の売買で利益は出たけれど、一部のゲームは利益回収出来ないから資産から除外するわ」って事です。これが経常利益は高いけど、当期純利益が低い理由です。

各セグメントの売上と利益も確認していきましょう。ゲーム事業以外は投資事業なので、売上高が無くても資産価値変動で利益が変動するようです。

ゲーム 2020年4月期 2021年4月期 (前期比)
売上高 19,718,500 18,483,885 -6.26%
営業利益 2,783,045 1,629,278 -41.46%
XR 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 44,381 - -
利益 -402,631 -119,172 -70.40%
ブロックチェーン 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 64,812 144,824 123.45%
営業利益 -155,011 2,964,646 -

ゲーム事業が減収減益になっていることが分かります。そして、ブロックチェーンの利益が大幅な増収になっている事も分かります。暗号資産のボラティリティが高いうちはこれに依存して増益減益が決まるということでしょう。これでは、この企業の株主が企業に投資しているのか暗号資産に投資しているのか、まるで分かりません。

ちなみに、4/30(金)といえばビットコインを始めとした暗号資産が大幅下落が発生する前のタイミングです。暗号資産の資産価値に大きな影響を受ける本企業は、9月に発表されるであろう1Qの決算で大幅な減益になることはほぼ間違いないのではないでしょうか。

4.財務分析

暗号資産を多数保有しているということは、それが貸借対照表に明記されているはずです。確認していきましょう。

  • 利益剰余金が16億円増加。(63%増)
  • 自己株式は-10億円。(変動なし)
  • 未払法人税が5億円増加。(2.4倍)
  • 長期借入金が20億円増加。(5倍)
  • 現金が26億円増加。(45%増)
  • 未収入金が13億円増加。(5倍)
  • 暗号資産が12億円増加。(15倍)
  • ソフトウェア資産が8億円減少。(62%減)
  • その他の関係会社有価証券が24億円増加。(18%減)

まさに「暗号資産の売買をやってますよ」というようなラインナップになっています。他に本業以上に投資事業にも力を入れているように見えます。

長期借入金による大幅な資金調達を行っていますが、これは本業に使うのか企業投資に使うのか、はたまた暗号資産へ投入するのか。それは1Qの決算を見ないと分からないかもしれません。開示情報としては「運転資金」であることのことです。*2

一方で、良くある赤字企業と違い、自社株買いをしているようです。配当も昨年から実施しており、配当利回りは0.4(%)で配当性向は8(%)と低いものの、株主への還元姿勢は伺えます。

5.チャート分析

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4月に高騰した後に下落して1000円台まで戻ってきています。出来高急増していてボラティリティの高い4/22~23は投資先に関する材料ニュース*3が出たからのようです。そのニュースもNFTやブロックチェーン関連の話とのこと。

直近は75日移動平均線をサポートラインとした押し目になるか、このまま下落して25日移動平均線と75日移動平均線デッドクロスするかの2パターンが考えられますが、「今期業績予想非開示」「2~4月期が営業赤字」というマイナス材料の業績だったことを考慮すると、このまま下落する可能性の方が高いと思います。もっとも、仕手筋に遊ばれそうな小型株ですし、ニュース記事も見栄えの良いタイトルですから、行く先はまったく分かりませんが。

下落するとしてどの辺まで下落するのか。日柄調整するのであれば数か月900円台を維持するか、値幅調整するのであれば何度か底を付けた770~780円台か。買い残は6/4時点で500万株となかなかの数量です。これも下押し圧力になるのではないでしょうか。地味に売り残も2万株程増えています。

6.まとめ

短期投資では、前述の通り押し目と続落の2パターンが考えられるので様子見が正解だと思います。買うのなら上がるのを見てから、売るのなら下がるのを見てからで良いのではないでしょうか。ただし、暗号資産の価値が次決算に大きく影響を与えるので、遅くとも1Q決算前には手仕舞いした方が良さそうです。

長期投資では、本業の利益の拡大が見えてこないので控えた方が良いと思います。株主還元は確かに進んでいますが、安定した事業とは言い難いですし、他に長期投資に向いた企業はいくらでもあると思います。

7.おわりに

決算は銘柄ニュースのタイトルに踊らされず、まずは売上高と営業利益、経常利益、当期純利益のそれぞれの変動率を良く見るべきです。一つだけ突出して増加/減少していれば、何かしらの理由があるはずです。小売業の売上高だけが大幅に増えているのであれば無茶なペースで出店していたり、営業利益だけが大幅に増えていれば無茶なコストカットを推し進めていたりするかもしれません。理想はそれぞれが順調に増加している事だと思います。

ネクソンも同様にビットコインを購入していたようですが、ゲームメーカーの特徴なんですかね?NFT技術はゲームメーカーとシナジーのある技術だと思いますが、だからと言って暗号資産を売買する理由にはならないと思うのですが、良くわかりません。また、企業への投資に関しては個別株を自分で運用しているのだから、本企業やソフトバンクグループといった投資会社にわざわざ投資しなくても良い気もするですがね、もっとも儲かりさえすればどんな手法でも良いとは思いますけれど。

とりあえず、私は地に足の着いた事業をしている企業の方が好みです。あくまで個人の好みの話です。

本記事は本銘柄の売買を推奨するものではありません。売買を止める意図もありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。