前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

【企業分析】エーザイ(4523)

1.はじめに

本日はストップ高になった日経225採用銘柄「エーザイ」について調べてみます。

2.事業概要

エーザイは製薬の大手で、ニューロロジー領域(神経)とオンコロジー領域(腫瘍、癌など)に注力している企業です。今回のストップ高は、米国のバイオジェンと共同開発するアルツハイマー認知症治療薬が承認されたというニュースを受けた結果のようです。この治療薬はニューロロジー領域の事業として開発されており、2021年3月期決算短信に本治療薬の承認申請が行われたことも明記されています。

オンコロジー領域はレンビマという抗がん剤が主力となっており、企業Webサイトによるとこの抗がん剤の承認取得国数は70を超えているそうです。

事業のセグメントは医薬品事業とその他事業の2種というほぼ単一セグメントですが、決算短信の報告セグメントは「日本」「アメリカス(北米)」「中国」「EMEA」「アジア・ラテンアメリカ」「一般用医薬品等(日本)」の6種に分類され、売上高と利益が公開されています。

3.業績分析

直近の通期業績と今期の会社業績予想を確認しましょう。5/12(水)に2021年3月期本決算が発表されています。

通期業績 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
売上高 695,621 645,942 681,000
(前期比) 8.20% -7.10% 5.40%
営業利益 125,502 51,766 58,000
(前期比) 45.70% -58.80% 12.00%
経常利益 128,063 52,551 58,500
(前期比) 43.20% -59.00% 11.30%
当期純利益 121,767 42,119 44,500
(前期比) 92.10% -65.40% 5.70%

2020年3月期は大幅な増益ですが、2021年3月期は大幅な減益になっています。上記の表には掲載していませんが、2019年3月期の営業利益と比べても約4割の減益です。それ以前と比べると、2016年や2017年と同水準の金額で決して順調に成長しているとは言えない実績です。

今期の会社業績予想も前期と比べると増収増益見込みではあるものの、決して高い成長率とはいえません。それでは、2020年3月期の増収の原因は何だったのか、報告セグメントの売上高と利益を見てみましょう。

日本 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 247,134 231,899 -6.16%
営業利益 94,198 83,869 -10.97%
アメリカス 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 127,931 142,801 11.62%
営業利益 59,969 64,679 7.85%
中国 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 77,004 85,080 10.49%
営業利益 32,767 40,396 23.28%
EMEA 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 53,651 55,240 2.96%
営業利益 22,990 25,695 11.77%
アジア 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 46,643 45,889 -1.62%
営業利益 15,961 18,639 16.78%
一般用医薬品 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 24,904 25,150 0.99%
営業利益 4,548 5,075 11.59%
その他事業 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売上高 118,355 59,881 -49.41%
営業利益 108,525 51,485 -52.56%

その他事業が大幅な減収減益になっていることが分かります。決算短信の表外の注記を見ると、その理由がわかります。

米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のオプション権行使に伴う一時金12,885百万円(前連結会計年度は21,622百万円)及びマイルストン20,700百万円(前連結会計年度は54,559百万円)を含めています。

このオプション権の行使により、上手いこと利益を出せただけのようです。つまり、最新の営業利益を本企業の一般的な水準と考えた方が良さそうです。

4.財務分析

次に財務について確認していきましょう。日経225採用銘柄だけに変化の大きくないようなので、純資産と負債、資産の割合を円グラフで示します。

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自己資本比率64.5(%)で、そのうち利益剰余金は47.6(%)という高水準です。他の採用銘柄と比べないと分かりませんが、今まで調べてきた中ではダントツです。

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資産の内訳は極端にいずれかの資産に偏ることなく、バランスの良い配分になっています。製薬会社としてこれが妥当かどうかまでは判断出来ませんが、コロナショックなどのマネー周りの有事において、リスクはかなり抑えられるのではないでしょうか。

5.チャート分析

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流石にこの価格帯の銘柄がストップ高になると、訳の分からない値動きになりますね。例によってチャート分析は意味を為さないと思います。11月にも似たような急騰急落しているので、ほぼ同じような値動きをするのではないでしょうか。仮に明日も上昇したとしても、10000円台の節目近辺で下落すると思います。

6.まとめ

短期投資では、触らないことが一番だと思います。今回のストップ高を短期に取るとするならば、5/27(木)の出来高急増を察知して既に拾っておくべきケースです。もっとも出来高だけで急騰するかどうかは分かりませんし、この手のニュースによる急騰は取れないと割り切った方が良いと私は思います。

長期投資では、今買わないのは当然として、PERを株価7000円として計算しても約45倍の割高水準です。こういう急騰を除き、安定した株価上昇は見込めないように思います。実際、月足チャートを見ても順調に成長しているとは言えない株価変動になっています。配当利回りを株価7000円として計算すると2.28(%)で、同じ利回りで株価上昇も狙える他の銘柄があると思います。

そして、配当額は2020年3月期に10円増配して160円になったものの、2021年3月期は配当性向100(%)超過と何時減配してもおかしくない状況です。現金はあるのですぐに減配するということはないと思いますが、長期投資の方針には合致しないと思います。

7.おわりに

「バイオ企業には触るな」という認識を新たにしました。短期の高騰はまず取れず、長期は徐々に下落するからうま味が少ない、それは日経225採用銘柄でも同様ということでしょうか。株価はさておき、新型コロナにおいては遅れを取った日本の製薬会社ですが、日本の成長のためにも健康のためにも頑張って欲しいものです。今回のニュースが株価相応、企業の発展に繋がれば良いなと思います。

本記事は本銘柄の売買を推奨するものではありません。売買を止める意図もありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。