前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

【企業分析】東京海上ホールディングス(8766)

1.はじめに

今回は有名な損保企業の東京海上ホールディングスの企業分析をしようと思います。

2.事業概要

有名な企業なので説明は不要かもしれませんが、生命保険や火災保険など保険を各種取り扱うグループ企業です。決算短信を見ると、保険の種類は「火災」「海上」「障害」「自動車」「自動車損害賠償責任」「その他」の6つに区分されているようです。

これまで取り扱った企業は中小企業でしたが、本企業は時価総額が3兆円を超える大企業です。

3.業績分析

5/20(木)に2021年3月期の本決算が発表されています。中身を見てみましょう。単位は百万円で、2022年3月期は会社の今期業績予想です。

通期業績 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
経常収益 5,465,432 5,461,195 -
(前期比) -0.20% -0.10% -
経常利益 363,945 266,735 440,000
(前期比) -12.60% -26.70% 65.00%
当期純利益 259,763 161,801 315,000
(前期比) -5.40% -37.70% 94.70%

流石に大企業ともなると利益の額が桁違いです。それはそうと、売上高や営業利益がないのは金融業だからです。お金を貸したりなどして利息を得るので、一般的な企業の売上高に相当する項目はないのですね。より詳しいことは自分で調べてみてください。

では、数字を見ていきましょう。経常収益は2020年3月期も2021年3月期も微減と言ったところです。一方で経常利益は継続して減少してきています。直近では業績悪化していることが分かります。

悪化の原因は何なのか、損益計算書の経常費用を見てみましょう。

保険引受費用 2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
正味支払保険金 2,057,707 1,863,128 -9.46%
損害調査費 145,299 146,653 0.93%
諸手数料及び集金費 694,708 697,263 0.37%
満期返戻金 158,337 175,458 10.81%
契約者配当金 18 4 -77.78%
生命保険金等 412,721 396,519 -3.93%
支払備金繰入額 128,992 262,454 103.47%
責任準備金等繰入額 489,344 638,068 30.39%
その他保険引受費用 9,120 5,844 -35.92%

大きく増えた費用は「支払備金繰入額」と「責任準備金等繰入額」であることが分かります。これは保険金の支払いのためにあらかじめ準備している資金のことです。実際に支払った資金ではありません。つまり、実際には業績悪化していないということになります。詳しいことは第一生命のWebサイト*1で解説されているので、そちらもご参照ください。

それでは会社予想通りに来期は大幅な増益になるのでしょうか。それを判断するために2021年3月期の会社予想と実績を比較してみましょう。

通期業績 1Q時点 2Q,3Q時点 実績
経常収益 - - 5,461,195
(前期比) - - -0.10%
経常利益 265,000 310,000 266,735
(前期比) -27.20% -14.80% -26.70%
当期純利益 175,000 200,000 161,801
(前期比) -32.60% -23.00% -37.70%

2021年3月期2Qの決算発表で上方修正*2したのに、実績は1Q時点の経常利益をわずかに上回り、当期純利益は下回るなど、業績の上振れに期待した投資家は落胆する結果となっています。コロナの影響で予想が立てにくいのは仕方ないにしても、今回開示された増収増益の見通しを素直に信じられるかどうかは怪しいところです。

金融業界の企業は配当利回りが高いイメージがあるので、配当に関しても調べてみましょう。

  • 2020年3月期:配当225円 (配当性向60.9%)
  • 2021年3月期:配当235円 (配当性向101.2%)
  • 2022年3月期:配当215円 (配当性向47.3%)

2021年3月期の配当は配当性向が100%を超えています。収益以上に配当金総額が多く、企業の保有する現金を切り崩して株主に配当しているということです。当然、現預金が尽きれば配当はできなくなり、企業も立ち行かなくなります。もっとも、その前に減配を進めるでしょう。

実際、今回の決算発表で減配になりました。基本配当として提示されている額は15円の増額になっていますが、一時的な配当は35円から0円へ減額されています。2022年の業績が企業の見込み通りに推移しなければ、基本配当側も削られていくことでしょう。逆に、見込み通りに推移するのであれば基本配当側はそのままに、一時的な配当側が増額されるかもしれません。

4.財務分析

次に貸借対照表を確認しましょう。気になるポイントを列挙します。

  • 利益剰余金が115億円減少。
  • その他有価証券評価差額金が4730億円増加。
  • 保険契約準備金は14兆円計上。

金額の規模が大きすぎて判断付きにくいですが、大きな変動や項目の増減はありませんでした。黒字なのに利益剰余金が減少しているのは利益以上に配当金支払いしているためで、有価証券の差額が増えているのはコロナショック以降からの全面的な株価上昇によるものでしょう。

自己資本比率は14.2(%)と一般的な企業水準で考えるとかなり低めですが、第一生命(7.6%)より高く、SOMPO(15.4%)と同程度で特に問題はないと思います。

金融業は大きな資金を調達して運用するという利幅を得るわけですから、どうしても低くなってしまいます。保険金のために準備している保険契約準備金は負債扱いなので、むしろあまり高いと積立不十分な可能性もあるのではないでしょうか。

準備金に関しては特にコメントありません。額がとんでもなかったので、一緒に掲載してみました。

5.チャート分析

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コロナショックの時の株価にはまだ戻っておらず、業績が回復すると共に株価が戻るのなら、コロナショック直前の6000円台への回復は充分ありえると思います。一方で、直近は減配や業績予想未達の影響を受けて大きく下落しています。2Q決算発表の増配および上方修正の影響で4800円から5400円台まで上昇してきているので、今度は資金が逆回転して4800円台までは下落することも想定した方が良いかもしれません。

6.まとめ

長期投資では、予想PERが11.4倍でPBRが0.98倍とかなり割安な上に高配当な優良株に見える反面、実績PERは22.3倍とやや割高で連続減配の可能性も見え隠れするリスクのある株にも見えます。それでも減配し続けることは無いでしょうし、各国の金利が上昇すれば増益も見込めるので、今買ったとしても損し続ける可能性はかなり低いのではないでしょうか。

短期投資では、既に下落し始めてるので買いで入るのは無しだと思います。20日~100日移動平均線が集中しているタイミングで大きく下振れしたので、下落トレンドに移行する可能性が高いと思います。11月~5月は5100~5600円のレンジ相場に見えますので、5400~5500円近辺で空売りするのが良いのではないでしょうか。

7.おわりに

東京海上ホールディングスの減配がどうのという話を見かけたので、実際の企業の状態はどうなのかと気になって調べてみました。金融業の財務諸表が他と異なるということも知っていましたし、それの勉強も兼ねた所があります。

正直、間違っているところもあるかもしれないので、参考程度にお願いします。一般社団法人 生命保険協会に会計の見方の資料*3が公開されているので、勉強されたい方はそちらも見てみてください。

なお、本記事は本銘柄の売買を推奨するものではありません。売買を止める意図もありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。