前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

【企業分析】ITBookホールディングス(1447)

1.はじめに

本日は株探検索キーワード上位のITBookホールディングス(1447)を調べてみようと思います。

2.事業概要

ITBookホールディングスは、コンサルやシステム開発の事業を展開しているITBookグループと、地盤調査や地盤システム事業を展開しているサムシンググループが経営統合してできた企業です。

3.業績分析

早速、決算短信から業績を確認していきましょう。5/17(月)に2021年3月期の本決算が発表されています。単位は百万円で、2022年3月期は会社の今期業績予想です。

- 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
売上高 21,224 22,830 27,649
88.30% 7.60% 21.10%
営業利益 155 152 434
139.30% -2.20% 184.90%
経常利益 140 196 374
133.80% 39.90% 90.10%
当期純利益 83 -358 156

今期の経常利益は90%増と大幅な増益となっており、株探の銘柄ニュースでも見栄えの良いタイトルの記事*1が掲載されています。来期の見通しが良いのは経常利益だけではなく、売上高は2桁の増収で営業利益も約3倍の増益見込みとなっています。

しかしながら、前期の実績はさほど良くありません。売上高と経常利益こそ増加していますが、営業利益は減益となっており、当期純利益は赤字転落しています。

本決算で大まかな状況を把握したところで、各セグメントの業績を見ていきましょう。

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その他事業も含めて、合計9種類の事業を展開していることが分かります。2020年3月期と2021年3月期は全体的にほぼ横ばいながらも、アパレル事業を始めたり、海外事業やその他事業の売上高が約1.5倍になっているという違いがあります。

次に損益計算書から懸念材料があるかどうか調べてみましょう。2020年3月期、2021年3月期で合計して5つ気になる項目がありました。

  • 2020年3月期
    • 負ののれん発生益 177,516(千円)
    • 損害賠償金 18,339(千円)
    • 訴訟関連損失 4,000(千円)
  • 2021年3月期
    • 訴訟関連損失 20,154(千円)
    • 減損損失 158,751(千円)

まずは「負ののれん発生益」について。本企業は多数の事業を有していますが、負債を抱えた子会社を清算しているということは上手くいかない事業も相応にあるということでしょう。統合して何年も経過していないという点もポイントかと思います。

次に「損害賠償金」と「訴訟関連損失」について。これまでにいくつか企業の損益計算書を確認してきましたが、この項目は今回初めて見ました。簡単に検索してみたところ、2件の訴訟の内容*2*3が開示されていました。企業継続するうえであまり嬉しくない案件だと思います。

最後に減損損失について。これは通期連結業績予想の修正*4で合わせて開示されています。コロナの影響でアパレル事業や地盤調査などの遅延などが原因となっています。

以上をまとめると、現在多くの事業を有しており、M&Aで事業規模拡大を進めようとしているが、あまり上手くいっていないという印象です。

4.財務分析

貸借対照表キャッシュフロー計算書から、現在の財務状況を確認してみましょう。気になる点を列挙していきます。

  • 貸借対照表
    • 資本金が全会計年度比で1.4倍に増加。
    • 利益剰余金の赤字が1.7倍に増加。
    • 長期借入金が1.7倍に拡大。短期借入金も1.1倍に拡大。
    • 現金及び預金が1.2倍に増加。
    • 営業貸付金が2021年3月期から計上。(6億)
    • 貸倒引当金を以前から計上されている上、順調に増加。
  • キャッシュフロー計算書
    • 投資活動で約10億円支出。用途は固定資産や関係会社株式の取得。
    • 財務活動で約25億円調達。調達先は様々。

上記から読み取れることは「多量に資金を調達して、それを元手に資産や子会社を一気に増やし、企業拡大を目指している」ということです。

資金の調達方法は手段を問わないようで、短期借入金、長期借入金はもちろん、社債も発行しており、MSワラント*5も実施しています。流動負債に計上されている借入の合計金額は37億円で、現在の営業利益1.52億のなんと24.6倍にもなります。今期の営業利益見通しは2.9倍を目標に頑張るというよりは、2.9倍にしないと経営危機に陥ると言ったところではないでしょうか。

5.チャート分析

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最後にチャートを分析してみましょう。今年の1月からMSワラント行使期間だったこともあり、見事な下落トレンドになっています。本日は、昨日の高い今期決算の見通しを受けてストップ高になっています。しかし、それでも4月中旬以前に買った人は大半が含み損を抱えているわけで、ある程度買いが膨らんだ後は上値重く横這いあるいは最悪下落するのではないでしょうか。

ストップ高前の安値基準でもPERは約50倍程度、PBRは約2.7倍程度です。業績的にも財務的にも割安というわけではないので、注意が必要かと思います。

6.まとめ

長期視点では、事業拡大が上手く進んでいるかどうかが重要なので、1Q決算が発表されるまで待ち、進捗率を確認してからでも遅くないと思います。業績、財務ともに割安でもありません。

短期視点では、下落トレンド継続中なので買いは控えた方が良いかと思います。買いで入るならせめて長短移動平均線が横ばいになってからで。どちらかというと売りで入るべきですが、直近は今期見込みを好感した買い圧が強いでしょうから、数日は様子を見た方が良いかと思います。

7.おわりに

連載中(?)の暗号資産4社の話ばかりだと飽きると思いますので、今回は一般的に話題(株探)に上がっている企業からピックアップしました。ストップ高に飛び乗りの買いを入れる人、含み損を抱えている人、業績見込みと値ごろ感から買いを入れる人など様々だと思いますが、この分析結果が投資の参考になれば幸いです。

ちなみに、多数の企業を有する(有していた)点については、ネクスGも同様です。拡大傾向の企業が拡大に失敗した時はどうなるのかということをネクスGの回でご紹介できるかと思います。

なお、本記事は本銘柄の売買を推奨するものではありません。売買を止める意図もありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。