前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

【企業分析】Abalance(3856)

1.はじめに

今回は東証2部上場、Abalance(3856)について企業分析をします。5/15時点の株探検索キーワード1位の銘柄です。

2.事業概要

Abalanceは企業Webサイトによると「グリーンエネルギー事業」「建設機械事業」「IT事業」の3つの主力事業を有しています。その他にヘルスケア関連事業も手がけています。株探や四季報によると、元々は「IT事業」で創業したようですが、現在の主力は「グリーンエネルギー事業」(太陽光事業)になっているようです。

3.業績分析

5/14(金)に2021年6月期の第3四半期決算が発表されました。まずは株探の銘柄ニュース*1を見てみましょう。

Aバランス、7-3月期(3Q累計)経常は6倍増益・通期計画を超過

Abalance <3856> [東証2] が5月14日大引け後(19:40)に決算を発表。21年6月期第3四半期累計(20年7月-21年3月)の連結経常利益は前年同期比6.0倍の12.1億円に急拡大し、通期計画の10.8億円に対する進捗率が112.4%とすでに上回り、さらに3年平均の93.4%も超えた。

この業績向上度合いが投資家の目を引き、話題となって本銘柄を検索キーワード上位に押し上げたのでしょう。それでは、本企業の業績を実際に分析してみます。単位はいずれも百万円で、2021年6月期分は会社業績予想です。

- 2019年6月期 2020年6月期 2021年6月期
売上高 5,984 6,678 23,500
-18.00% 11.60% 251.90%
営業利益 608 361 1,110
-34.40% -40.50% 207.00%
経常利益 566 305 1,080
-35.20% -46.00% 253.50%
当期純利益 316 211 430
-58.20% -33.10% 103.50%

今期の業績は売上高が3.5倍、営業利益も3.1倍と、極端に上昇していることが分かります。次に現在までの進捗率について確認してみましょう。

- 1Q 2Q 3Q
売上高 1,923 11,573 19,544
(進捗率) 8.18% 49.25% 83.17%
営業利益 390 845 1,250
(進捗率) 35.14% 76.13% 112.61%

売上高は通期業績予想の進捗率に近い水準まで到達しています。営業利益に関しては既に予想を超過しています。このことから、会社予想は妥当な水準に設定されていると判断できます。一方で、2Qで大きく売上高を伸ばしている理由が気になります。

セグメント毎の業績を確認しましょう。なお、企業Webサイトで紹介された事業と決算短信に記載されている事業は少し異なるようです。

売上高 1Q 2Q連結 3Q連結
グリーンエネルギー事業 1,713 2,502 4,094
太陽光パネル製造事業 - 8,760 15,020
IT事業 6 11 39
光触媒事業 22 54 100
営業利益 1Q 2Q連結 3Q連結
グリーンエネルギー事業 504 501 810
太陽光パネル製造事業 - 545 719
IT事業 -5 -7 15
光触媒事業 -6 -1 2

太陽光パネル製造事業の業績が2Qから計上されており、これが売上高と営業利益を押し上げていることがわかります。2Q決算短信の記載によるとベトナム法人を連結した結果のようです。

当第2四半期の期首からVSUNを新規連結したことにより、当社グループの連結経営成績への大きな業績寄与となり、当第3四半期におきましてもVSUNの業績は引き続き堅調に推移しております。

つまり、今後の業績が伸び続けるかどうかはVSUNに託されているといっても過言ではないでしょう。実際、決算と同時にVSUNの太陽光パネルの製造工場を新設するというIRニュース*2が公開されています。なお、この資金調達は自己資金と借入金で調達する方針になっています。

4.財務分析

次に貸借対照表から財務の状況をチェックしましょう。チェックポイントを列挙します。

  • 利益増加により現金が4.7倍に増加。(現在57億)
  • 短期借入金が8倍に増加。(現在56億)
  • 1年以内に返済する長期借入金は横這い。(現在11億)
  • 長期借入金は1.4倍に増加。(現在53億)
  • 固定資産の機械装置が4.2倍に増加。(現在112億)

大幅な増収増益の裏側には大きな借入が存在し、その結果として元々低かった自己資本比率は14.2(%)から10.5(%)に落ち込んでいます。借入で事業拡大していくことは大事だと思いますが、主観では少しやりすぎのように思います。

そもそも、昨年時点で1年以内返済予定の長期借入金が11億あるのに、昨年の当期純利益は2億で営業CFはそもそも-64億と、借金で無理やり事業継続している状況です。太陽光パネル製造事業への進出は八方塞がりの状態から強引に打って出た形なのでしょうが、既存の事業で成果を出せていないのに新事業を上手く経営して事業拡大出来るのか、私は疑問に思います。

貸借対照表の推移をグラフで見ると、異常な速度で負債が増えていることが良くわかります。

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借入が重いのに増資ではなく更なる借入を選ぶのは、代表取締役会長(龍潤生 氏)が自社株の34(%)を保有しており、増資の影響による株価下落を嫌ってのことではないかと推測します。

5.チャート分析

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上記は本企業の日足チャートです。2020年10月から出来高が急増し、急激に株価が上昇していることがわかります。ちょうどVSUNの子会社化*3が発表されたタイミングです。今回の決算の結果は既に織り込まれていて、PER79倍/PBR8.39倍というかなり割高な水準に到達してしまっています。

テクニカル分析の観点では各移動平均線が右肩上がりの上昇トレンドになっています。今回の決算の結果を受けて下落しなければ、トレンドに追従して3か月以内に売り抜ける方法は有効かもしれません。ただし、売り抜けしようとしているのは先乗りしている人たちも同様なので、株価が崩れ始めたら即売るべきでしょう。

6.まとめ

長期視点では、今回の3Q決算で発表された大幅な増収増益は買収による結果なので、今年度と同水準で成長していくことはまず無いと言えます。そして、継続的に成長するかどうかも、これまでの実績を見る限り厳しいのではないかと思います。そのため、長期投資で投資は控えた方が良いかもしれません。

短期視点では、前述した通りに上昇トレンドに乗り、崩れたらすぐに手仕舞いする方法がベターだと思います。

7.おわりに

業績を読み始めた時点では非常に成長している攻め姿勢な企業という感じに見えましたが、財務を調べるにつれてかなり危険な企業であると認識を改めました。既に、いつ株価が崩れてもおかしくない状態になっているように見えます。私は短期投資も含め、本企業への投資はしません。もしも投資を検討している方が居ましたら、自分でも決算短信を確認してみてください。特に貸借対照表は必読だと思います。

なお、本記事は本銘柄の売買を推奨するものではありません。売買を止める意図もありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。