前のめりSE投資家の勉強ノート

将来の資産形成を目的として、株式や債券など様々な金融商品への投資をやっています。充分な利益を目指し、日々勉強しています。

優良企業の探し方 ~業績の基本を抑える~

1.はじめに

今回は企業が発表する各業績の数値と、数値から算出できる指標に関して説明します。いずれも経済ニュースや決算短信*1の意味を理解する上で理解しておくべき内容になります。

2.企業の業績について

企業は四半期ごとに決算短信という資料で業績を公開します。決算短信の最初のページには、自社の利益や資産、配当の実績や予定などが記載されています。以下は決算短信のイメージ図です。左から順番に説明します。

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売上高・営業利益

売上高は、企業が商品やサービスを販売して得たお金のことになります。営業利益*2は、売上高から費用を差し引いた金額です。

例えば、ラーメン屋を経営しているとして、ラーメン1杯700円で販売しているなら、1杯売れるごとに売上高は700円ずつ増えていきます。一方で、ラーメンを作るには麺やチャーシュー、スープの材料などが必要で、それらを購入した金額が費用になります。材料費が600円だとしたら、ラーメン1杯あたりの営業利益は700-600=100円となります。費用には広告費なども含むため、出店にあたりチラシを作って配った場合はその分の費用も計上することになります。

経常利益・純利益

経常利益*3は、営業利益に対してお金の貸し借りで発生した損益を計上した金額です。純利益*4は、経常利益に対して一時的な要因で発生した損益を計上し、税金も反映した最終的な利益です。

例えば、ラーメン屋の出店にあたり銀行からお金を借りた場合、銀行にお金を返済しなければなりません。経常利益は、営業利益からこの返済金を差し引いた金額になります。また、ラーメンの売り上げが好調で複数の支店を持ったとして、そのうちの1店舗が台風の被害で営業できなくなり、閉店することになったとします。この時に発生する損失は特別損失として計上され、経常利益から特別損失を差し引いた金額が純利益になります。

決算短信の各項目は前年同期の実績値と前年同期比(%)が一緒に記載されるので、前年より業績が好調なのかどうかは決算短信を見るだけですぐに判断することができます。

3.業績を表す指標について

特定の企業の業績が前年より良くなったかどうかは、前述の通り決算短信で分かります。しかし、株価が適性値なのかどうかは業績だけでは判断できません。事業の規模も企業ごとに異なるため、判断するには客観的な指標が必要になります。

PER・EPS

PER(株価収益率)*5とEPS(1株あたりの当期純利益)*6は収益から企業を分析するための指標です。それぞれ以下の方法で計算できます。

PERは収益に対する倍率であり、株価が高くなるほど大きくなり、株価が安くなるほど小さくなります。こうした指標であることから、PERは大きいほど「割高」であり、小さいほど「割安」と言われています。一方で、EPSは1株あたりの利益であるため、高いほど株の価値が高いということになります。

PBR・BPS

PBR(株価純資産倍率)*7BPS(1株当たり純資産)*8は資産から企業を分析するための指標です。それぞれ以下の方法で計算できます。

PBRは資産に対する倍率であり、PERと同様に倍率が大きいほど「割高」であり、小さいほど「割安」になります。一方で、PBRは1株当たり純資産であるため、高いほど株の価値が高いということになります。

4.業績などから株の特徴を調べる

投資家は、決算短信や業績から算出された各指標を分析して、自分の投資方針にあった企業を探し出さなければなりません。株はPERやPBRの大小で2種類に区別され、それぞれバリュー株とグロース株と呼ばれます。

バリュー株

バリュー株*9とは、PERやPBRが低い値となっていて「割安」な株の事を指します。割安なうちに株を購入しておけば、株価が適性値になった時に利益を得ることが出来ます。

注意しなければいけないのは、PERが低いだけで割安であるとはいえないということです。現時点での業績の実績値は直ちに株価に反映されるため、その時点での株価は妥当だということです。このことを効率的市場仮説*10と呼びます。

重要なのはその企業が割安でない(もともとの)企業価値に戻るかどうかです。つまり、利益が減少した企業について分析を行い、その落ち込みが一時的であると判断出来て始めて「割安」な銘柄であると考えることができるということです。

グロース株

グロース株*11とは、成長が期待されている(もしくは成長中の)株の事を指します。多くの投資家が成長を見越して投資をするため、PERやPBRが非常に高くなる傾向にあります。

PERやPBRの観点では「割高」であると言えますが、成長を続けているうちは投資家からの資金流入により株価は上昇していきます。一方で、成長が止まったり減速したりした場合、資金流入は止まって株価は下落してしまいます。

バリュー株と同様にPERやPBRが高いだけで成長株と判断することは出来ません。前年同期比でどの程度継続して成長しているのかを確認し、現在の株価が妥当かどうかをしっかり判断することが大事です。

高配当株

バリューorグロースとは異なる分類として、高配当株*12と呼ばれる銘柄もあります。高配当株は名前の通り、株価に対して高い配当が設定されている株の事です。例えば、高配当銘柄として有名な日本たばこ産業(JT)の配当利回りは7(%)以上です。

高配当株は変動のあるキャピタルゲインではなくインカムゲインを中心に利益を得ることになります。しかし、変動が無いからと言ってインカムゲインは安定していると考えてはいけません。配当は企業の収益から支払われるものですから、企業の収益が減少したり赤字になったりすれば、減配や無配になることもあります。実際、このコロナ禍で減配・無配となった企業も存在します。*13

この減配・無配リスクは、決算短信に記載されている配当性向*14を確認(計算)することで評価することができます。この数値が高いほど利益を配当に回しているということになります。四半期ごとに配当が無理のない額なのかどうか、企業の利益と一緒に確認することが大事です。長期で保有するのであれば、現時点の実績だけでなく将来的にその配当が維持されるのかどうかも考慮する必要があるでしょう。

5.おわりに

企業分析には売上高や利益だけでなく、損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書などのより詳しい情報を確認する必要がありますが、それらについては専門書などに任せます。個人的には以下の書籍が、例え話も上手く組み込んで説明しており、分かりやすくてお勧めです。

会計超入門! 知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる! 改訂版

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  • 作者:佐伯 良隆
  • 発売日: 2018/01/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

どの株を買うにしても、判断基準が無ければ「利益は運頼み」になってしまいます。自分なりに分析して何かしらの根拠を持ってトレードに向かうように心がける事が大事ではないでしょうか。